二拠点生活をするとき住民票ってどうしてる?デュアルライフを始める手順を分かりやすく解説

コロナ渦で注目の二拠点生活(デュアルライフ)とは?

都会と田舎など2つの拠点を行き来する生活様式です。二拠点ライフは今住んでいる拠点をそのまま残しつつ、地方にセカンドハウスを構えて暮らす。移住との違いはここにあります。
最近はニュースでも特集が組まれるほど人気が高まっており、幅広い年代の人から注目されるようになりました。
そのきっかけとなったのが、新型コロナ感染症の拡大です。
2020年頃から在宅ワークやリモートワークが一般的になり、従来の働き方が当たり前ではなくなりました。それに伴い地方での生活に関心を持つ人口が増加したのです。
デュアルライフには、都会と田舎のメリット両方を享受することができます。
移住する場合は仕事や住まいなどを変える必要がありますが、二拠点生活ならそれほどハードルは高くありません。
住民票は移す?移さない?それぞれのメリットデメリットを解説

二拠点生活(デュアルライフ)を行う上で疑問に思う点が「住民票をどうするのか」です。都市部の今の拠点に住民票を置いたままにするべきか、気に入った地方へ住民票を移すか選択しなければいけません。理由は、住民票を2つの地域に置くことができないからです。
住民票は移すべき?住民票の役割について

結論、生活拠点が2つある場合、住民票は滞在期間が長い拠点に置くことをおすすめします。
なぜなら、住民票は公的サービスを受けるために必要なものだからです。
たとえば、ワクチンの接種は住民票のある市区町村で受けますし、選挙の際には住民票のあるところで投票します。
その他、福祉や図書館などの施設利用といった公的サービスを受ける際にも、住民票が必要になることがあります。
公的サービスを受ける頻度が多い拠点や、さまざまな手続きをしやすいのはどちらの拠点かを考えて、滞在期間が長い拠点の方を選ぶとよいでしょう。
住民票と運転免許証

住民票の異動と運転免許証の住所変更はそれぞれ手続きをする必要があります。
運転免許証の住所変更をするには、住民票の写しや郵便物など、新住所を示すものが必要です。そのため、仮に住民票を新しい拠点に移す際、手順としては住民票を変更したのち、運転免許証の住所を変更するという流れになります。
住所変更をしないまま運転できないことはありませんが、免許更新の案内は旧住所に届きますし、更新手続きも基本的には旧住所でおこないます。
そのため、主に生活している拠点に住民票を置くほうがよいでしょう。
2拠点目に住民票を移す場合のメリット・デメリット

メリット
まずはメリットについて記載していきます。
メリットは住民票異動先での公共サービスを受けることができたり、郵送物がスムーズに届くということです。
また、2拠点目に決めた自治体で、例えばリフォームに関する経済的な移住支援を行っている場合、住民票を移すことが支援金を受け取ることに必要であるケースが多いです。自治体は定住の意思がある方へ向けて支援策を用意してくださっています。
また、物件の購入にあたって2拠点目に根強い地銀でローンを受けたいという方も住民票を移す必要がある場合もあります。地銀は地元に密着しているためでしょう。
こういったメリットを享受できるか、2拠点目の自治体や銀行等に問い合わせしてみることをおすすめします。
デメリット
ここからは、デメリットについて記載していきます。
2拠点目では公共サービス等が受けられるものの、これまでの拠点で受けられる公共サービスが制限される可能性があります。例を挙げると、地元の方限定で宿泊施設や、公共施設の割引が受けられたりするものが適用外となったりします。
参考程度に、実際に名古屋市と名護市で2拠点生活をされている方に聞いてみましたが、2拠点目の名護市へ住民票を移しても、特段デメリットは感じていないそうでした。クレジットの明細などの郵送物は、これまで通り名古屋市の拠点へ届くようにしているそうです
二拠点生活(デュアルライフ)時の住民票と税金の関係

住民税の考え方
住民税は、住民票のある地方自治体に納めます。
地方税法によって標準税率が決められているため、住民税に地域差はないのが原則ですが、実際には自治体の裁量で変更できるため、住民税の額に地域差が発生することもあります。
たとえば、北海道夕張市では、財政を立て直すために税率を0.5%上乗せしていたというケースや、神奈川県や岩手県などでは、環境負荷を抑制するために「地方環境税」を徴収しています。
つまり、住民票をどこに置くかによって、住民税に差が生まれる場合があるのです。
気になる人は、事前に2拠点目の地方自治体のサイトで確認しておきましょう。
住宅を所有する場合は注意
2つの拠点のうち、少なくともどちらかの住宅を所有している場合は注意が必要です。
というのも、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
しかし、税制上、住まいと認められるのは1ヶ所だけです。また、住宅ローンを利用できるのは、原則として「自分が居住する住宅」となります。住宅ローンを利用して購入した住宅に「住んでいない」場合は、ローンの一括返済を求められることも。
二拠点生活では住宅を所有するか賃貸とするか、そして住民票をどちらに置くかを、十分に考えておきましょう。
二拠点生活(デュアルライフ)をする時の費用はどのくらい?

まず、大前提としてこれまでの二拠点生活(デュアルライフ)は、裕福な人が別荘を持っているイメージを持たれている方も多いでしょう。しかし、現在の2拠点生活では、コストをうまく抑えて賢く二拠点生活(デュアルライフ)をされている方がとても増えています。
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近年は少子高齢化や若者世代の地方離れもあり、地方の土地や物件が放置されている状況も自治体の課題にもなっています。
そのような社会的な背景もあり、二拠点生活(デュアルライフ)に興味がある方は、手始めにまず、空き家やシェアハウスを活用しお金をかけずに賢くお試しで長期間滞在してみることをおすすめします。
デュアルライフを始めるにあたって、当然ですが先立つものが必要です。
具体的には初期費用と維持費の2種類があります。
初期費用
大まかには下記のようなコストが発生します。
賃貸物件を契約するのであれば、敷金・礼金などがかかります。また、住宅を購入するのであれば物件購入費も必要です。
- 敷金、礼金
- 物件の購入費用
- 家具、家電の購入費用
維持費
二拠点生活を続けるためにも、月々かかるランニングコストをよくシミュレーションしておきましょう。賃貸契約であれば家賃や管理費など、住宅を購入したのであれば固定資産税がかかります。さらに、光熱費、通信費、生活費、交通費、火災保険などの支払いもあります。
そのため、自家用車の燃料費や交通機関の運賃だけでなく、どれだけ都会と地方を行き来するのかも、あらかじめよく検討しておきましょう。
- 家賃
- 更新費用
- 水道光熱費
- 交通費
- 高速料金
- ガソリン代
- 火災保険料
- 固定資産税
行き来する頻度やワークスタイル、持家か賃貸か、など個々の計画にもよるところもありますが、基本的には「出費が2倍になる」と捉えておくことがベター。
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二拠点生活(デュアルライフ)をする時の仕事はどうしてる?

そもそも働き方には、大きくわけて「通勤」「自営」「フリーランス」の3つがあります。
しかし、働き方を選ぶ際、必ずしも「通勤&リモートワーク」、「自営」、「フリーランス」のいずれか1つに絞る必要は無いです。例えば、企業に勤務しながら空いた時間にフリーランスとして別の仕事をするような「兼業」というスタイルもあります。
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通勤&リモートワーク
二拠点生活(デュアルライフ)をするうえで最も無難な選択かつ、多くの人がこの働き方となるでしょう。
リモートワークを推奨している企業に務めている方は、週に1度や月に1度など会社に決められた頻度で、出社する必要も出てくると思いますので、ある程度2拠点目のエリアや地域は絞られるでしょう。
仕事を辞めたり、転職されたりするわけでは無いため、不安な点は少ないと思いますが、会社の方針が急に変更となり、出社の頻度が増えるといったことが無いように気を付けましょう。
自営
やりたいことがあり、ライフスタイルと仕事が結びついた暮らしを目指したいなら自営が向いているかもしれません。
組織に属さず、自ら起業し事業を行う。飲食業や建築業など事業内容は十人十色です。
地方は東京に比べて土地代が安いので、場所を借りて店舗や事務所を構えやすいといえるでしょう。
集客はSNSなどの情報発信やECサイトでの物品販売など、インターネットが強い味方になります。地方は人口が少ない分、ライバルも少なく、東京ではできなかった自己実現を達成する人もいます。
フリーランス(業務委託)
エンジニアやクリエイターなど手に職を持っているならフリーランスという選択肢もあります。
自営業と似ていますが、法人化していない、あるいは法人化していても拠点を持たず身一つで働く、エンジニアやクリエイター、インストラクターなど専門的な技術を持っている人が多いです。
プロジェクト単位で仕事を受注し、契約内容によってはクライアントのオフィスに通うこともありますが、基本的には仕事のスケジュールを自分で決めます。
はじめての二拠点生活におすすめのエリア

二拠点生活をするうえで、最も関心があることは「どこを2拠点目にするか」ではないでしょうか!?
ここでは、人気のエリアをピックアップしてお伝えしていきます。詳細は関連記事をぜひご覧になってくださいね。
都心からほど近い有名エリア
軽井沢エリア

長野県軽井沢町は、避暑地・別荘地として有名な街です。人口約2万人の小さな都市ながら、古くから国際交流が盛んで「国際観光文化都市」に指定されています。
広大なゴルフ場、植物園、スポーツ施設、美術館や文学館が点在しており、綺麗に見える浅間山と自然広がる景色が楽しめるエリア。
四季折々の景観も美しく、自然と触れ合えるのも軽井沢ならでは。
【詳しくはこちら】
那須塩原エリア

栃木県那須塩原市は、栃木県の北部にある街です。観光地で有名な「那須高原」の玄関口となっています。
豊かな自然から避暑地や紅葉の名所として知られている那須・塩原エリアですが、古くから温泉地としても親しまれています。歴史と豊富な泉質が魅力で観光客が多く訪れます。
【詳しくはこちら】
箱根エリア

箱根町は箱根駅伝とも呼ばれる、東京箱根間往復大学駅伝競走のコースとして使用されている町です。人口は1万1千人ほどで、温泉や観光地が多くの人で賑わっています。
また、富士箱根伊豆国立公園の中央にあり、都心からのアクセスがよい観光・温泉地として知られています。
四季折々の自然の景色は美しく、美術館・博物館、その他レジャー施設、また正月の箱根駅伝をはじめイベント・祭事も多く、1年を通じて楽しめます。
【詳しくはこちら】
二拠点生活時の物件探し

二拠点生活をする際に最もお金がかかるところは住居です。
住居を契約する際は大きく3つの選択肢があります。
- ①物件を賃貸する
- ②物件を購入する
- ③物件シェアのサブスクリプションサービスに加入する
工夫次第では二拠点生活の住居費を大幅に抑えることができるのです。 通常の賃貸物件でも地方は安価で、単身者であれば月々2万円程度の物件もあります。長期滞在ができるホステルやゲストハウス、民泊物件では、月々1.5万円程度から宿泊できるところも珍しくありません。
賃貸
二拠点生活のためにマイホームを建てると費用がかかります。マイホームにこだわらず賃貸物件を探せば、二拠点分の家賃を払うとしても家計がやりくりできる可能性が高くなります。
- 田舎の場合、家賃が安い場合が多い
- 土地が合わない場合、拠点を変えやすい
- いろいろな拠点を試すことができる
物件を賃貸する際は、今みなさんが住まわれている家と同様に民間企業の出している物件検索サービスを利用すれば良いでしょう。
二拠点目に住まう頻度が多くない(月のうち1〜2週間ほど)なら、定住する場合と比べて住居の劣化スピードも遅くなります。そのため、オーナーや不動産会社と家賃交渉ができる余地もあるでしょう。
賃貸での二拠点生活に魅力を感じている河西さんの記事はこちら!
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購入
家の購入はリスクが高いため、慎重に行うようにしましょう。
多額の資金が必要ですし、1年〜2年住んだ後に「やっぱり違った」と思うかもしれないためです。場所によっては、売却も上手くいかない可能性があります。
お試しで近隣の物件を賃貸で住んでみたり、購入を考えている物件を1〜2ヶ月住んでみたりと慎重に選ぶようにしましょう。
空き家
二拠点生活は、受け入れる地方にとってもメリットがあります。
都市部からの流入によって「人材不足の解消」「経済効果」「コミュニティの活性化」などの効果が期待されており、国土交通省によっても積極的な推進が行われているのです。
こうした理由から、自治体によっては、二拠点生活の支援制度がある場合も。たとえば、長野県では県内の55の市区町村において、最大で100万円の補助金制度が設けられています。
そのほかにも、空き家を活用した住宅の整備、リモートワークの環境整備など、さまざまな自治体が特色ある取組みを行っているのです。そのため、拠点を持ちたいエリアを絞り込めたら、自治体のホームページなどで利用できる制度を調べておくといいでしょう。
物件シェアのサブスクリプションサービス
シェアリングエコノミーの浸透や民泊合法化、また地方物件の価格低下などを背景に民間企業から多数の物件をシェアできるサービスが提供されています。
サービス | 月額個人会員 |
A社 | 5.0万円 |
B社 | 8.2万円※30日間MAX滞在プラン |
C社 | 3.0万円+共益費1万円 |
2拠点目として思いっきり自由に自分の私物を置くことはできませんが、お試し期間の長期滞在先として活用してみるのも検討してみて下さい。
最後に

一つの家に住み、一つの職場で働くという日本の暮らしは、大きく変わりつつあります。
月額3万円から物件シェアのサブスクリプションサービスが話題を集めたり、古民家を安価で手に入れてリノベーションをし、使わない間は民泊で貸し出すなど、地方の空き家物件を上手く活用している方も多いようです。
人々の住むことに対する考え方が時代と共に変化し、人の流動性が高まったと言えるでしょう。
二拠点生活をする際には、いくつか考えなければならないことが多く、ハードルも高いように感じた方もいらっしゃるかもしれません。ただ、実際に始めてみると、とても快適で人生の充実度や満足度が高まり、仕事のメリハリもついて生産性が上がるなど、たくさんの良いことも待っています。
自分の叶えたいライフスタイルを実現できるよう、応援しています!
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