地域全体のサポートを受け、養蜂の起業。富山県朝日町へ移住
目次
「自分にあった二拠点生活・移住先が分からない…」
「知らないだけで、もっと自分にぴったりなまちがあるのでは…」
そんな方には「住みたいまち検索」がおすすめ!
政府機関が発表する中立・公平なデータをもとに、
全国1,741すべての自治体から
本当にぴったりなまちが探せるのは、
二拠点・移住ライフ大学の「住みたいまち検索」だけです。
都市部から地方へと移住し、地域の人とともに働きながら、新たな人生を歩み始める地域おこし協力隊。しかし、中には任期終了後のライフプランや目標が見えず、定住に結びつかないケースも少なくありません。
そうした中、初めての就農から任期後の起業までトータルでサポートしているのが、富山県下新川郡朝日町です。静岡県出身の服部大介さんが、朝日町に移住したのは2016年4月。製造業の夜勤の仕事で深刻なストレスを抱えていたため、転職ではなく移住を選んだのだそう。
現在は、養蜂家として非加熱で無添加の純粋ハチミツを生産・販売を行っています。そんな服部大介さん・彩子さんご夫妻に、移住までの経緯や養蜂の起業について、詳しくお話を伺いました。
移住者のプロフィール
服部大介さん
2016年4月に静岡県から富山県朝日町へ移住。朝日町で支援している「地域おこし協力隊」という制度を利用し養蜂家として起業。
移住の背景
移住のきっかけを教えてください
服部大介さん(以下、大介):学校を卒業して、最初は販売業の仕事をしていたのですが、業績が傾き転職。製造業の仕事に就きましたが、職場環境は決して良くありませんでした。その状況を変えたい、変えたい、と思っていました。
いろいろと学ぶ中、”1つの企業に人生を丸ごと委ねてしまえば、自分で選べる選択肢が極めて少なくなり、運よく環境の良い企業に入った人しか幸せになれない”と教わりました。
それで、特定の企業に依存せず、少しずつでも自分で稼げるようにな幸せになれるのではないかと思い、農山村地域への移住を考えました。地元が静岡の妻にとっては、住み慣れた静岡を離れることは大きな決断でした。二人で移住の情報を調べ、日本各地へ下見に行くうちに、移住への思いは強くなっていきました。
最終的に富山県朝日町への移住を決めたのは、県内のNPO法人が主催する農業体験イベントに参加した時の町の人の優しさ、そして、農業未経験でも農業のノウハウをゼロから学んで就農できる朝日町独自の手厚いサポート制度に魅力を感じたからです。
移住後の仕事
職種が変わることへの不安はありましたか?
大介:私の場合、最初から農業にすごく興味があったかというと、そうではありませんでした。ただ、一般の企業に勤めるのなら、今までの生活と変わりません。農業は自分で物を作り稼いでいけるので挑戦したいと思いました。
朝日町では、2020年4月から農業研修奨励金として月額報酬に毎月3万円を上乗せして支給するほか、新たに建設した就農者向けの研修宿泊施設を住居として提供したり、活動に使用する車両を町が無償で貸与しています。
移住後は町で紹介された一軒家に住みました。そこから徒歩で通えるほどの距離にある近隣の「農事組合法人ハイテック大家庄」に勤務し、あらゆる農作業を習得していきました。高齢化が進むこの地域では、若手の人材は貴重な存在です。
服部さんの仕事ぶりはどうでしたか?
事務局長を務める弓野久和さん、(以下、弓野):服部さんを受け入れた当初は、やっぱり心配もありました。農業は体でコツを覚えるようなことも多くありますが、服部さんはあっという間にできるようになりました。何でも一生懸命に頑張って、ご飯も食べに行かず暗くなるまで熱心に草刈りをしている日もありましたね。
実際に農業に携わり気持ちに変化はありましたか?
大介:任期終了が近づくにつれて新たな目標が見え始めました。そのまま米作りに携わるという選択肢も確かにありました。しかし、少しずつでも自分の手で売れる物を作って生活していきたいと思っていたので、小さく始められてある程度稼げる仕事は何だろうとずっと考えていました。
新たな分野への挑戦を応援していただけたのですね。
大介:1年ほど考えた結果、出した答えは養蜂でした。養蜂は効率化が難しく、大手の新規参入の心配が少ないこと、国産のハチミツは値段が高くても需要が高いこと、特別な貯蔵施設を必要とせずに常温で3年ほど保管できることから、個人でも始めやすいと思いました。
弓野:ハイテックでこのまま働いてくれたら退職金も出るのに…とも思いましたが、服部さんの夢も応援してあげないと。常勤からパート勤務への切り替えをすることになりました。
富山県朝日町の移住支援について
起業について町のサポートはいかがでしたか?
大介:養蜂を始めるにあたって、用意したのは巣箱、ネット付きの帽子や作業着、燻煙器などの専用の道具、そして繁殖力旺盛な種蜂でした。
朝日町では、任期終了後に起業する場合、起業支援事業補助として上限100万円を補助する支援制度があります。養蜂に使う土地も町の人たちの理解と協力を得て無事に見つけることができました。
移住後に新たな挑戦してみて
養蜂に挑戦してみていかがでしたか?
大介:手探りで始めた養蜂でしたが、今では収穫量も増え、今年はすでに50kgのハチミツを収穫しました。瓶詰めにしてラベルを貼り、町のお菓子屋さんやカフェなどに置かせてもらうと、おかげ様で口コミで評判となりました。今では入荷してすぐに完売してしまうほどの町の人気商品となっています。
こだわりは、非加熱で無添加の純粋ハチミツ。非加熱だとハチミツ本来のミネラルや香りが損なわれません。購入していただいたお客様の口コミやプレゼントなどで知られるようになり、有り難いです。
人気商品となり、規模を大きくすることは考えていませんか?
大介:一人で無理なく安定的に続けていきたいと思っています。今は、町のお店や施設に置かせてもらうとすぐに売れてしまいますが、これから採れる量が増えていけば個人でネット通販などにも挑戦していきたいです。夏場はどうしても収穫量が少なくなるので、蜜源となる植物や木を周りに植えたりできたら、とは思っています。
移住成功の秘訣について
移住成功の秘訣は何だと思いますか?
大介:最初から無理しすぎないほうがいいかもしれないです。自分から前へ前へと出ていくと逆に引かれるかもしれません。無理して明るく前に出て行かなくても、真面目に働いて少しモジモジしているくらいがちょうど良いのではないでしょうか。
もちろん、人並み程度に義理堅く誠実であることは大事だと思います。真面目にコツコツやっていこうという気持ちさえあれば、朝日町には協力してくださる方が大勢います。
地域行事についてはいかがですか?
服部彩子さん(以下、彩子):町内の草刈りや運動会などの行事への参加は大事ですね。朝日町の人はみなさん親切で外で作業していると手伝ってくれたり、採れたての野菜や柿を届けてくれます。何かと気にかけてもらっています。
それもこれも主人が地域で農業を頑張っているおかげだと思います。子どもの成長を地域で見守ってくださる感じもありがたいです。
ありのままの自分で新生活を始め、自らの手で売れる物を作って稼ぐ夢をかなえた服部さんの名刺には、“農山村型マルチワークへの挑戦”と書かれています。
農事組合での仕事と養蜂の両立に加えて、今後は育てたサツマイモを「壺焼き芋」にして移動販売する新たな取り組みも検討中とのこと。夫婦二人三脚で地域に根を張り、自分の仕事を創る服部さんの挑戦はまだ始まったばかりです。
朝日町の地域おこし協力隊募集中!
朝日町では、2021年度の地域おこし協力隊として朝日町に定住し、独立や農業法人等への就農を目指す農業研修生を募集しています。月額報酬のほか、住居や車の無償貸与といった支援も充実。2020年4月には朝日町新規就農者等研修宿泊施設(通称「あさひ農学舎」)を開設。
地元農業団体の運営のもと、実践的な実地研修が受けられます。基礎的な農業に関する知識の習得はもちろん、一人ひとりの目標に沿って研修の企画を行うなど、農業研修生の独立や農業法人等への就農に向けてサポートします。あなたの理想の田舎暮らしを、朝日町でかなえてみませんか。
公的な機関ではなく、どこかの市町村に属しているわけでも無い
民間のサービスだからこそあなたの理想の暮らしの応援者として寄り添います。