移住して漁師になる夢と現実。都会から田舎へ就漁する方法や注意点を紹介
目次
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静かな漁村に移住して海とともに漁師として生きる
とても魅力的な生き方ですよね。
最近は港町の漁村に住む人の高齢化が進み、漁業をする人の数が減ってきています。
一方、生き方の多様化が進み、都会から田舎に移住して漁師になりたいという人も一定数いる状態です。
しかし、中々上手くいかないのが実態のようです。
本記事では、「漁師になりたい」という人と「担い手不足の漁村」で、ニーズが合致しているにも関わらず、残念な結果になる原因を探っていきたいと思います。
漁師になりたいという夢を叶えるためのヒントが詰まっていますので、移住をして漁師を目指す人は、ぜひ読んでみてください!
あなたは「なぜ」移住して漁師になりたいのですか?
突然ですが、あなたは「なぜ」移住して漁師になりたいのですか?
別にここで「すぐに答えられなければダメだ」と言うつもりはありません。
でも、もしあなたの中で迷いがあるなら、まだ時期ではないのかもしれません。
「毎日の満員電車がシンドイ」、「今の会社でずっとやっていくのかと思うと、気が重くなる」、「もっと自分らしい生き方があるのかも」。
わかります。
そして、「田舎で自然の中のんびりと過ごしたい」、「海辺の街で豊かな人生を送りたい」なんて考えるかもしれません。
もちろん、そんなところからスタートしてもいいでしょう。
ただ、当たり前ですが現実はそんなものではないと薄々感じているはずです……
実際、漁師はとても厳しい面もある職業です。
都会から移住して、いきなりは、なかなか漁村に馴染めないこともあるでしょう。
そんなとき「なぜ移住して漁師になりたいのか」を強く持っている人は強いです。
焦る必要はありません。
移住先を探しながらでも全然大丈夫です。
でも、ぜひその「なぜ」を探してみてください。必ずその思いが、あなたを将来助けてくれるはずです。
漁師をやるには漁業権を得なくてはいけない
前置きが長くなりましたが、それでは移住をして漁師になる方法について見ていきましょう。
日本では漁業権というものがあるため、漁師をやるには、その漁業権を取得する必要があります。
漁業権を取得するには、漁協により多少の違いはあるものの、基本的には「漁協の管理地域に在住していて」、「漁業の実務経験」があり、その上で、各漁協にて行われる資格審査で認められる必要があります。
そのため漁師になりたい人は漁業組合の組合員の漁師に弟子入りするか、その権利のある会社に所属して、漁業権を得るための実務を経験しなくてはなりません。
なお、独立する気がなく従業員として漁師をやっていくのであれば漁業権を自分でとらなくても大丈夫です。
漁師としての実務を経験する方法
上記のとおり、漁師になるための実務経験は漁師に弟子入りするか、漁業を生業とする会社に従業員として雇われることで得られます。
働くためのルートはいくつかありますが、簡単に以下で説明しますね。
漁業関連の会社に入社する
漁業関連の会社に入社するのは想像しやすい選択筋と言えます。
一般の会社への転職と同じく、募集している企業を探して、応募、面接などを経て採用されれば、漁師としての第一歩を踏み出せるでしょう。
就職先の情報は、一般的な転職サイト、地域のハローワーク、または都内や地元などで開催される漁業関係の就活フェアなどで仕入れることができます。
個人でやっている漁師を探すよりもハードルが低いと言えます。
漁師に弟子入りする
漁業を生業とする会社への就職の他、個人事業主や小規模な事業として漁師をやっている人に弟子入りして実務を経験するという方法もあります。
この方法の場合、通常の転職方法で探すことは、ほとんどできないので、漁業関係の就活フェア、自治体などが開催する移住や就業相談会などに参加して情報を得る必要があります。
他にも自治体によっては、地域おこし協力隊をとおして漁業に関わることが可能です。
漁師に弟子入りを希望する場合、絶対的な情報量は少ないので、足を使って地道に探していくしかないのが難点です。
従業員として漁師・弟子入りして漁師
同じ漁師でも会社員としての漁師と弟子入りしての漁師では働き方や漁師になるまでの道のりに違いが出てきます。
漁師経験するメリット・デメリット
双方のメリット・デメリットを事前に把握した上で、自分にはどちらが良いのか選んでいきましょう。
従業員として漁師を目指すメリット・デメリット
漁業の会社で従業員として漁師を目指すメリットは、給料、勤務時間、休日、福利厚生などを含めた安定が一番でしょう。
特に脱サラして漁師を目指す方などは、漁業の会社に一旦、転職をすることで環境の変化を緩やかにすることができます。
一方、仕事の幅が狭く技術を幅広く習得できない、あるいは独立するためのノウハウなどが漁師に弟子入りするのと比べると学びづらいなどのデメリットも会社員として働く場合はあります。
ある程度の安定は欲しいけど、将来独立するためのスキルや人脈が欲しいという場合は、比較的小規模な会社を選ぶといいでしょう。
また、「将来独立をしたい」ということを理解してくれ、応援してくれる会社を選ばないと、お互い「こんなはずじゃなかった」となってしまうので気をつけてください。
弟子入りして漁師を目指すメリット・デメリット
現役の漁師に弟子入りして漁師を目指すメリットは、なんといっても実際に漁師として生計を立てている人から、その全てを学ぶことができることです。
極端な話、師匠のやり方をそのまま真似できれば漁師としてやっていける訳です。
地域や漁協の人との関わりも、個人漁師の方が比較的深く関わることができるので、独立時には既に心強い人脈ができていることでしょう。
デメリットは、お金と相性の問題になると思います。
自治体などの支援があるとはいえ、会社員として働くよりは、どうしても収入が少ないです。弟子入りする場合は、ある程度、事前の蓄えがないと苦労することになります。
また、会社と違って、1対1で教わるとなると相性がとても大事です。
万が一、途中で相性が悪いことに気づいてしまうと悲劇です。
師匠になる人との相性はよくよく見分けましょう。
とはいえ、最近は師匠となる人に全てお任せではなく、自治体や地域全体でサポートしてくれるところも増えているので極端に心配する必要はないと思います。
そもそも漁師を育てる気がない人は受け入れもしないので、漁師になるために真面目にやっていれば問題ないケースも多いでしょう。
移住して漁師になることに失敗する人
次に移住して漁師を志すにあたって、どんな人が失敗するかを見ておきましょう。
成功する方法は再現性がなかなかないこともありますが、失敗は防げるものです。
ここでは就漁移住に失敗する人の特徴を3つ紹介します。
厳しいようですが、当てはまる人は自分を変えるか、移住をやめることも検討してください。
漁師はコミュニケーションが大事
意外に思うかもしれませんが、漁師の仕事をやるにはコミュニケーションが非常に大事です。
漁師は小さな船で1人、自然と海を相手にする仕事ではありません。
上記でも解説したとおり、漁業権を得るためには漁協に入る必要があります。漁協に入るための審査では、漁業を本気で継続するつもりがあるか、定住の意志があるかとともに組合内でちゃんとやっていけるかも見られます。
また漁師の技術を得るにしてもマニュアルなんかは一切ありません。
季節、時間による魚が捕れる漁場の違い、潮の流れ、天気の見方や危険を回避する方法。
全て実務を通して人に教わりながら習得していくものです。
移住先の小さなコミュニティで、漁師をやっていくにはコミュニケーションが1番大事です。
コミュニケーションをとる気がない人は、漁師として上手くやっていくことは難しいでしょう。
のんびりマイペースで仕事できるというのは幻想
漁師の仕事は幅広くありますが、多くの場合、早朝からあるいは深夜から、時間との勝負です。
相手は自然なので待ってはくれません。
漁場が分単位で変わることもあります。
時間が限られているので、仕事中はピリピリしている漁師も多いのが現状です。
また危険とも隣り合わせのため、時には声を荒げて叱られることもあるでしょう。
のんびり指導している間がないのです。
もし、あなたが漁師にいただいているイメージがキラキラ光る太陽の元、青い海を見ながら、のんびりマイペースで漁をするというものでしたら、それは幻想です。
暗く寒い中、真っ黒い海を相手に星空を見る余裕もなく仕事をするのが漁師の仕事くらいに思っておかないと失敗するでしょう。
漁師だけで食べていくのは厳しい現実
一口に漁業と言っても遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業と大きく3つに分けられます。
- 遠洋漁業:世界中の海が舞台の漁業。1度航海にでると数か月から1年間帰ってこないこともあります。マグロやカツオの一本釣りなどが有名です。
- 沖合漁業:一般的に数日以内で帰れるくらいのエリアで行う漁業。まき網漁法でイワシ、サンマ、サバやアジなどを獲ります。他にも底びき網漁法でエビやタコ、カニなどを獲るのも沖合漁業が多いです。
- 沿岸漁業:日帰り可能な範囲内で行う漁業。地域や季節に応じて、さまざまな魚を獲るため、漁法もこれといって代表的なものはありません。
日本の漁師の85%が沿岸漁業を行っていて、その平均年収は238~350万円(水産庁調査2007~2017年)と決して高くないのが実態です。なお、この沿岸漁業には養殖も含まれるため、漁船のみで漁業をやっている漁師の場合は、年収は189~274万円とさらに低くなります。
また、漁師の収入は天候などにも左右されるため安定していません。
漁師一本で食べていくには厳しい現実が待っていることを知らないと「こんなはずじゃなかった」と挫折する可能性が高くなります。
なお、沿岸漁業の年収はさらに低く、多くの漁師が漁業以外にも収入を作っているのが実態です。
遠洋漁業だけは例外で、年収1,000万円オーバーなんて人も多くいますが、1年間も船の中で過ごすのは想像以上に厳しいものです。
遠洋漁業以外は、漁師一本で食べていくのは、なかなか難しいということを知っておきましょう。
移住して漁師で成功する人
移住して漁師として成功している人は、上記で上げた3つの失敗する理由を,
事前に知っていて備えている人です。
- 漁師はコミュニケーションが大事
- のんびりマイペースで仕事できるというのは幻想
- 漁師だけで食べていくのは厳しい現実
漁師は1人ではやっていけません。しっかりとコミュニケーションをとって、周りの人にサポートしてもらい、厳しい仕事を楽しく変換できる人が漁師として成功しています。
また移住して漁師を始める前にある程度の蓄えを作ること、また副業などの収入を得られるようになっていると強いです。
移住して漁師になるために必要な条件
上記で解説した漁師で成功する人は、ちょっと抽象的ですよね。
ここでは、もう少し具体的に漁師としてやっていくのに必要な資格やスキルについて解説します。
小型船舶免許
漁師をやるならば船が必要ですが、そのために小型船舶免許が必要です。
小型船舶免許には、すべての海域に行ける1級と沿岸より5海里(約9km)まで航行できる2級の免許があります。
免許は小型船舶教習所での修了試験もしくは国家試験に合格することで取得可能です。
海上無線技士
船舶を運転するには、海上特殊無線技士の資格も必要です。
日本沿岸、近海の海域での国内通信及び船舶レーダーが使える第2級海上特殊無線技士と、国際通信もできる第1級海上特殊無線技士があります。
遠洋漁業をやる場合以外は、第2級海上特殊無線技士を取得すれば十分でしょう。
船
漁師が使う船は、漁業の種類によって大きさ、そして値段が変わってきます。
小型の船を中古で買う場合は安いものであれば数十万円、大型のものであれば1,000万円をオーバーします。
あなたがどんな漁業をやりたいのか、そしてそれに必要な船の大きさと費用はどの程度かかるのか把握しておきましょう。
資金
船に費用がかかることは、上記で既に言及しましたが、その他にも漁師をやるには諸々の漁師道具を購入する必要があります。
船の他、漁に応じた網や浮き、あるいは釣り竿などの船道具、漁協への加入費用、そして移住の場合の当面の生活費など、移住して漁師をやろうとすると、それなりの資金が必要です。
貯金や別の収入を得るとともに、補助金なども上手く活用していきましょう。
強靭な体力
漁師の仕事は体力勝負です。力仕事が多いのもそうですが、夜の寒い海での作業は思っている以上にキツイものです。
また揺れる船内で足を踏ん張っての仕事になるので、同じ作業でも地上でやるのとは雲泥の差があります。
生活も不規則になりがちですので、漁師をやるには気力・体力が充実している必要があります。
最後はコミュニケーション
上記で船や資金の解説をしましたが、コミュニケーション能力の方が大事です。
船や資金は貯金など事前の準備をする、または国や自治体、漁協のサポートを得られますが、コミュニケーションはそうはいきません。
漁師として失敗する人の解説でもしたとおり、コミュニケーション能力がないと漁師としてやっていくのは厳しいです。
一方、コミュニケーション能力があると運が良ければ中古の船を譲り受けたり、資金面での漁協のサポートなども受けやすいです。
負けずに漁師を目指して欲しい
移住して漁師になることは憧れだけではできません。
本記事を読んでちょっと萎えてしまった人もいるかもしれません。
少し厳しめの意見だと思います。
しかし、漁師を目指す方には、この程度でめげずに乗り越えて頑張って欲しいと思っています。
漁師という職業は自然を相手に勝負できる楽しくも誇り高い仕事です。
本記事が少しでも漁師を目指す方のエールになることを願ってます。
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こちらの記事でも移住の流れを10ステップ紹介しているのでぜひ参考にしてください。
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